(1)プラスの財産を引き継げなくなる
相続放棄をすると、借金などのマイナスの財産だけでなく、不動産や預貯金などのプラスの財産も引き継げなくなります。
また、相続放棄が完了すると、後から撤回することはできないため、例えば、相続放棄が完了した後に莫大な財産が見つかったとしても、その財産を引き継ぐことはできません。
ですから、放棄する前に財産状況を正確に把握してください。
新たな相続人が出てくる
相続放棄をすると、相続に関する一切の権利義務は他の相続人へまわっていきます。
誰も相続に関わりたくないのであれば、第一順位から第三順位までの全ての相続人が相続放棄をする必要があります。
第一順位:亡くなられた方の配偶者※1、亡くなられた方の子※2
第二順位:亡くなられた方の直系血族(父母・祖父母)
第三順位:亡くなられた方の兄弟姉妹※2
※1:
例えば、亡くなられた方に「配偶者」と「子」がいる場合、「子」の全員が相続放棄をしても、全ての相続分が配偶者に集まるわけではありません。
「子」の全員が相続放棄をした場合は、「配偶者3分の2:直系尊属3分の1(直系尊属が亡くなっている場合は配偶者4分の3:兄弟姉妹4分の1)」の割合で、配偶者と他の相続人が相続分を分け合うことになります。
※2:
「亡くなられた方の子」や「亡くなられた方の兄弟姉妹」が相続放棄をした場合には、相続が「孫」や「甥・姪」に発生することはありません。
一方で、「亡くなられた方の子」や「亡くなられた方の兄弟姉妹」が既に亡くなられている場合には、「孫」や「甥・姪」に相続が発生します。
相続放棄の撤回はできない
相続放棄は一度行うと撤回することはできません。
相続放棄をした後に高価な相続財産が発見される等、相続放棄をしたことを後悔してしまう場合もあり得ます。
ですから、事前にしっかりと財産状況を確認しておく必要があります。
ただし、理由が他の相続人の脅迫によって相続放棄した場合、詐欺によって相続放棄した場合は例外的にとりけしをすることが認められています。